
中国の伝統的な精神的な強さと安定性 - ドゥ監督も満足
仙台(日本) - FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選の始まり。中国代表チームには強烈なエネルギーが漂っていた。
ウー・チエン、グォ・アイルンをはじめとする選手たちは皆、バスケットボール大国である中国のスターらしく、集中力と決断力にあふれていた。ワールドカップ予選の初戦を迎えた彼らは、その期待を裏切らなかった。
中国は、仙台にいる日本のファンの前で、予選の初戦、19-2とリードを広げ、最大で30点差をつけ、その後も順調に勝利を収めた。
初戦で24得点を挙げたグォ・アイルンは、試合後の記者会見で「チームとして、どうしてもこの試合をうまくやりたかった。」と語った。
「だからこそ、第1Qでは、1つ1つのポゼッションを大切にして戦っていたのが見ている人達にも伝わったと思う。」
「全員がそれだけ力を注いだのは、この試合が自分たちにとってどれだけ重要かを知っていたからだ。」
本来であれば、日本のホームコートで、日本のようなレベルのチームに2桁得点差で勝利を収めれば十分なのだ。もちろん中国は勝利に満足していたが、完全には満足していなかったようだ。
土曜日の試合後の記者会見でドゥ・フォン監督は、「この初戦を振り返ってみると、ファンの皆さんにはまだまだ改善の余地があることがわかったかと思う。」と語った。「我々は100%集中していなかった。あの時、20点、30点とリードしていた時に、我々の集中力が少し落ちてしまった。実際に日本は、その機会を利用して、我々を追いかけ、少しずつ点を取り返していった」と述べた。
「すべて、次の試合で改善しなければならないことだ。明日の試合に向けては、先ほども言ったように、40分全体、インテンシティ(集中力)が重要であり、それが次の試合に向けての鍵となる。」
これは、ドゥ・フォン氏のような厳しい監督が、チームを焚き付けたり、鍛えたりするためだけに言った言葉ではない。この初戦で勝てたのは良かったが、もっと上を目指せるはずだとチーム内で理解していたのだ。
このことは、試合後、ホテルに戻ってから、チームミーティングが招集された際にも語られた。
「初戦の後、短いミーティングを行いました」とドゥ・フォン監督は明かした。「その意図は、選手たちに集中してほしいということだった。なぜなら、あの日本チームには忍耐力がある。彼らには強い闘志がある。彼らは次の試合にはより力を入れてくだろうと。」
「だからこそ、私は選手たちに”第2戦を戦うときは、200%のエネルギーを注ぎ、努力をしなければならない”と伝えた。」
そして、まさにその通りに中国は2戦目を戦った。
2戦目、ティップオフから8-0でスタートし、第1Qを11連続得点で終えた。前の試合で軽傷を負ったジョウ・チーがフロアにいなくても、中国は試合完全にコントロールしていた。日本のガード陣に強烈なプレッシャーをかけ、ボールをよく動かした。1戦目では3Pシュートに問題があったが、この試合では前半で11本中6本を決めた。
最終的には58.3%、14本の3ポイントシュートを成功させた。
中国は106-73で、41点もの点差で勝利。
特にワールドカップに向けての道のりの序盤では、あまり笑顔を見せないドゥ・フォン監督だが、選手たちのパフォーマンスについて語るときには、少し満足げな表情を隠せなかった。
2戦目終了後の記者会見では、「今日の試合では、両エンド共に、実行力があったと思う。」と語った。「監督が意図した通りに、彼らは良い結果を出してくれた。戦略を実行した能力の高さを評価したい。」
この日の試合は、上から下まですべての選手がバランスよく活躍した。ビッグマンのレン・ジンフェイを除いて、すべての選手が得点を上げ、特にペリメーターの選手が目立っていた。
グォ・アイルンはわずか19分で14得点、7本のシュートを決めるなど、いつも通りの活躍を見せた。2000年生まれのシュー・ジエは13得点し、3本の3Pシュートを決めた。期待の若手、ジャン・ジェンリン完璧なプレイを披露し、17得点。その中でもモンスターのように強烈なプレイが目を引いた。
ジャオ・レイは、チームハイの27得点と、3点シュートを6-9本決め、、最も話題を集めた。
「歴史的に見ても、中国チームが100点以上を取って日本に勝ったのは数えるほどしかなく、今日はそのうちの一つだ。」とドゥ・フォン監督は語った。
この日の中国チームは例年よりも比較的若く、ドゥ・フォンコ監督は圧勝した彼らに対して、さらなる努力を求めた。彼らの反応は、ドゥ・フォン監督が選手として参加した過去の中国代表チームで見てきたものであり、コーチとして期待していたものでもあった。
「2019年末から2020年初めにかけて、私が再び中国代表チームのヘッドコーチの仕事を引き継いだ時、その時に見られたのは、より多くの若い選手がチームに参加するようになったことだった。」
「皆さんも、振り返ってみると、中国代表チームの1つの特徴は、第1にスピリットであり、第2に、全力で努力する安定性であることが分かっていただけると思う。これは、以前は年長者が行っていた伝統であり、今は若い世代に伝えられ、引き継がれている。」
「これは、この2試合でチームがうまくやったポイントのひとつだと思う。」
とはいえ、これはワールドカップ予選の最初の2試合に過ぎない。この先、中国にはまだまだ強敵が控えており、ドゥ・フォン監督が語る「伝統の精神と安定性」が試されることになるだろう。グループBのオーストラリアやチャイニーズ・タイペイ、グループDの中国が進出した場合に第2ラウンドで対戦する可能性のあるチーム、あるいは2023年のワールドカップに出場するチームなど、中国は100%、それ以上の力を発揮して勝利を手にする準備ができている。
八村塁、渡邊雄太、馬場雄大といったスター選手を擁する日本との再戦になったとしても、それはドゥ・フォン監督が楽しみにしている試合のひとつにすぎない。
「彼らが戻ってきてチームに合流すれば、日本にさらなるエネルギーをもたらしてくれるだろう。」と、日本の海外トリオについての質問に答えている。「試合の結果でしかわからないと思うので、実際に対戦してみてどうなるか、見てみたいと思う。」
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